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《第25話》住まいの道しるべ エピソード2

今回も、私のエピソードをご紹介したいと思います。
その中で今回は、資金計画についてお話をしたいと思います。
いつも、成功事例ばかりをお話しても、読んでいる皆さんも面白くないと思いますので、
資金についての失敗事例からお話させて頂き、その後どのように挽回していったか…。
という話をしていきたいと思います。

住まいの道しるべの中で、私にとって資金計画は、大きなウェイトを占めるところです。
皆さんは、資金計画をどのようにとらえていますか?
もちろん皆さん、大切なものだと思っていただいているとは思いますが…。
私が大きなウェイトを占めるという理由…。
それはとても簡単な理由です。
これで多くの失敗をしてきたからなのです。

ここで失敗例をお話したいところですが、まずは資金計画とは? というところから話を始めていきたいと思います。

まず資金計画と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?

例えば

  1. 年収や年齢から借入の出来る金額
  2. 建築予算から算出した月々の支払額
  3. 月々の希望支払額から算出した、建築予算
  4. 坪単価では表すことが出来ない、建築にかかる総予算
    1)付帯工事の内訳
    2)インテリア工事の内訳
    3)基準外申請への費用
    4)実費(水道分担金など)
    5)仮住まい・引越し費用
    6)諸費用(登記・火災保険・ローン諸費用など)
  5. 金利別の支払額の早見表
  6. 各銀行別の金利優遇やフラット35等の比較検討
  7. お子様の成長や加齢を含めた人生設計(ライフプラン)
  8. ローンの事前審査について
  9. 住宅ローンの仕組み
    などなど…etc

書き始めてしまうとキリのないくらいに出てきてしまいます。
上記のようなプレゼンを普段から、どのくらいの営業マンが持っているでしょう?

実は、私は“住まいの道しるべを”使い始めた頃はこんなに多くは持っていませんでした。というよりは、あまり資金については詳しくないまま2年くらいは営業をしてきたように思います。
たぶん1~6までは、先輩たちの資料をコピーさせていただいて持っていたと思います。
でも明確なのは、“自分で作ったもの以外は使わない”ということです。ましてや、使い方も良くわからない状態でした。

接客時では、いかにも“知ったフリ”で借入限度額の表を用いて説明していましたが、
意味も解らず…。
という状態でした!

ある時は、N所長から急に、
「年収400万円の場合いくら借り入れできるんだ!!」
と聞かれ、電卓を持ちながらアタフタ! アタフタ! していたことを思い出します。
要は、早見表は見ていたが重要な計算方法を理解していなかったのです!
もちろん、100万円当たりのローン支払額など全く解っていませんでした!
そんな状況のまま、ある商談において凄い失敗をすることになったのです。
あまり上司には報告をしなかった内容ですが…。
ご紹介したいと思います。

失敗1「銀行員のお父様」

若いご夫婦のエピソードです。(以下N様)
ご両親から譲っていただいた築25年の家に、建て替えを希望されたお客様でした。
N様は若いだけあって、当社のようなデザイナーズハウスを大変気に入っていらっしゃいました。
ただ年齢が2人とも25歳ということもあり(奥様は専業主婦)、不安材料は「住宅ローンの借入」でした!

早速、年収を基に人のコピーの“借入限度額早見表”で借入可能額を確認してみました!

「2400万円!」
「自己資金が100万円でしたので2500万円が総予算です!」
月々の支払も82000円位でしたので、十分に建築可能だと判断をしました!

お客様も
「これ位なら…。」
との話しでしたので、プランの作成を行い、金額も予定額を100万くらいオーバーした程度だったと思います。
「これなら大丈夫!」
と判断していただき、契約の日取りを決めさせていただきました。

いよいよ契約の日!
その日は、N様のお父様もご来場でした!
ここからが、修羅場でした!

いきなりお父様から!
「あなたは、この建築計画をどのように組み立てたのですか?」

いきなりの質問!
「ハイ! 息子様の年収から今回の計画は可能だと判断させていただきました!」

お父様は呆れた顔で
「いい加減にしてください!」
「あなたは、どんな教育を受けているのですか?」
「この子の年収350万円で手取りはいくらか知っていますか?」

私は、電卓で350÷12=29!
「29万円です。」
「たぶん手取りですと22~25万円だと思いますが…。」

お父様は、更に憤慨した様子で
「あなたは賞与というものがあるか息子に聞いたのか?」
「賞与で50万円もあるんだぞ! それは確認したのか!」
「月で20万円貰えず、何で月々8万円払えるんだ! それに奥さんも働かずに…。」
「それに打診はしたのか!」
「年収の35%なんて、無理に決まっている!」
「若いのだから車も欲しい、子供ができた、それに駐車場の無い土地なのだから、駐車場代まで考えたら、月20万円で生活できると思うか!」

私は徹底的に攻められてしまったことを今も覚えています。
確かに、お父様の言う通りに良く話を聞いていれば、まずい話だと思ってしまいました!
N様に「大丈夫!」と言われた事で安心してしまい、5年後や10年後の将来設計の事は、あまり考えずに商談を進めてきてしまいました!
それでも、N様の「大丈夫!」の言葉がありましたので…。

お父様に反論!
「しかし、息子様も8万円弱であれば大丈夫と言っています!」
「そうですよね!?」
とN様に問うと。
「父がそう言うのであれば、無理です!」…。

N様は更に、
「当初よりも100万円追加があるし…。資金がもうありません!」
私は完全な不利な状況で、思わず、
「100万円増加なら月々数千円の増加です!」
「大した金額にはなりませんので…。」
と思わず…。

お父様からついに!
「既に借入れ限度額までの資金計画にもかかわらず数千円とはなんだ!」
「あなた、100万円当たりの支払額を言ってみなさい!」

と、聞かれ…。
心の中で
「所長に質問されたやつだ!!」
全く覚えていませんでした!
私は、まだ無駄なプライドがある時期でしたので、適当に…。
「2000円位です…!」
と答えてしまいました!

皆さんも、ご存知の通り2000円の訳がありません!
今考えれば、なんて適当な事を言ってしまったのだろうと思います。

顔を真っ赤にされたお父様が、「その笑顔で他の客を騙せても、銀行員を馬鹿にするな!」
そう言われ、N様の手を引っ張るように帰ってしまいました!
私も、恥ずかしくて、追いかけることもできず、ただただ呆然としてしまいました!

この事例は、本当の話です。
できれば闇に葬りたい事例です。
なぜか、“住まいの道しるべ”の書く事を考えていましたら、思い出されてきてしまいました。

当時の私の悪いところが出ている典型的な事例です。
まずは、人として営業として、我の強い嘘つきな人でした!
そして、知らないこと知らないと言えない人間でした!
若い夫婦の将来のビジョンを考えず、契約の事しか考えない情けない事例です。
しかし、このお父様のご意見で私はたくさんの事を学びました!

資金計画とは何か?
私はいつも、“お客様と一緒に居る”と言い続けています。
“金の切れ目は縁の切れ目”とも言いますが、お金のことはお客様のことを考えるのであればしっかりとお話しすることだということに気付かされた事例です。
本当の意味で、お客様からの信頼を得るには、ここに重点を置くことだという事です。

この事例以降、私の中でこの資金計画については、人一倍、人のマネだけでは無く、自作で資料を作るようになりました!
特に、お客様の将来のライフプランには力を入れました!
もちろん、先輩で将来設計を上手に説明している資料を自分なりにアレンジしたものですが…。

お客様の将来のことを考え、今できる最大の御提案をするようになり、N様のようなご指摘や、早見表もしっかりと理解して活用をできるようになりました!
住宅が大好きで、お客様と一緒に家づくりをするのであれば、まずは資金計画を十分にマスターすることが一番の近道かもしれません!

是非、自分の資料を再度見直していただければ、そして古い金利表などが入っていたら、良い機会なので、見直してください。
そして、是非接客に活用してみてください。

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