不動産コンサルティングの住宅比較株式会社

いろんな比較

【制度】家族信託をご存知ですか

こんにちは。住宅比較の森田です。

遺産分割で相続人が複数いる場合の手段としてよくあるのが「財産の共有」です。公平に分割できるのがメリットですが、この方法はのちのち多くの問題を生む可能性が高いです。

今回は、相続人が複数いる場合の「共有名義問題」を解決する

家族信託

についてご紹介します。

共有名義にするとなにが起こるか

持分という制限

共有した不動産は持分に応じてその不動産全部を使用することはできますが、行為の度合いによって制限がかかります。

安易に共有にすると、いざ売却したいという時に全員の同意が必要なため、手続きが面倒になりがちです。

増えていく共有者

親名義の不動産を3人の子が共有名義にしていた場合を考えてみましょう。

この時点では共有者は3名、続柄も兄弟姉妹ですね。この後左の兄に3人の子がいて、共有持分1/3をさらに相続したとしたらどうなるでしょう。

3人だった共有者は5人に増え、3人のときより遠縁になってしまいます。他の相続人2人にも子どもができたらさらに共有者が増えていき、不動産の処分はどんどん困難になっていきます。

資産価値の低下

このように制限が多い共有名義の不動産は、自分の持分を売却できたとしても買い手側に制限が継承されるため、その不動産価値が下がり売却価格が低下します。

1億の不動産を2人で半分ずつ共有したのち、1人が売却したとしてもその売却額は5,000万円にならないということです。そしてもう1人の持分の評価額も、第三者が管理や変更行為に同意せずに土地全体を活用できない可能性から、やはり下がるのです。

家族信託のススメ

そこで近年注目されている対策が

家族信託

という方法です。財産の管理・運用・処分を自分以外の親族に任せることを指します。

家族信託の仕組みは上の図のようになります。

委託者:家族信託をお願いする人

自分の所有する財産の管理・運用・処分を受託者に任せる人です。相続対策の場では「被相続人」にあたります。

受託者:信託財産を管理・運用・処分する人

委託者と契約を結ぶなどして、条項に従い実際に財産を管理などしていく人です。家族信託の場合、息子や娘が受託者になるというより、「被相続人(委託者)の親族の中で信頼できる人」が指名されるようです。

受益者:家族信託から利益を受ける人

受託者にはこの人のために、契約の決まりに従って管理・運用・処分をする義務があります。相続対策の場では、「被相続人が財産を残してあげたい相手(子・孫など)」のことを指します。

家族信託で共有・相続をすっきり解決

この家族信託を使えば、すでに共有名義となっている場合でも、これから共有名義にすることを検討していた場合でも、どちらにでも対応できる解決策となります。

共有名義の不動産を家族信託する

例えば共有で実家を持つAとBが、Bの長男を受託者として家族信託を行った場合。管理・変更にAとBの同意が不要となり、Bの長男単独で実行することができます。AとBの死後は特段の定めがなければ、2人の相続人が委託者・受益者の地位を継承する、つまり通常の相続の形になるのです。

未来の相続人が複数いる被相続人の財産を家族信託する

Aの相続人が上のように3人いる場合の分割方法を比較してみましょう。

□共有名義にする ←一番避けたい

□分筆登記する  ←土地が小さくなって評価額下がる可能性高い

□相続しない人に同額の遺産(現金など)を渡す  ←不動産遺産がなかったらアウト

□相続した人が他の相続人に代償金を払う  ←相続した人が借金まみれだったらアウト

そこで、例えば被相続人Aの生前に、Aを委託者兼受益者にして、相続人の一人Bを受託者とし、「Aの相続時に受益権をB、C、Dで分割する」という内容を盛り込んだ家族信託契約を締結するとどうでしょう。

こうすれば、

経済的には共有名義と同等の効果

処分はBだけの判断でできる

というメリットがあります。この場合、受託者として義務を負っているBに受益権を多めに分けるようにすると◎。

家族信託はもともと所有者の認知症対策として注目されましたが、共有名義の財産処分にも非常に効果的です。今夫婦で共有名義の家に住んでいる方や、遺産分割会議で共有にするか迷っている方は家族信託を検討してみてはいかがでしょうか。

カテゴリ

年別アーカイブ

土地探し・家づくりのご相談を
お待ちしております。