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【制度】増える配偶者居住権利用者

こんにちは。住宅比較の森田です。

2020年に創設された「配偶者居住権」をご存知ですか。家の所有権の中で「居住権」を分けて、残された配偶者が安心して住み続けられるようにすることを目的とした制度です。

今回は2022年10月29日の日経新聞より、今後もさらに利用者が増え続けるとされている

配偶者居住権

について、利用するメリットや注意点をご紹介します。

配偶者居住権とは

被相続人の配偶者が自宅に住み続けられる権利のことです。被相続人の自宅を配偶者と子などが相続するときに、

居住権とそれを除く所有権

に分けてそれぞれを相続することが出来ます。この制度によって、単に自宅と預貯金を折半するよりも、配偶者が家に住みつつ資金の不安を解消しやすくなるのです。

例えば・・・

夫の遺産 自宅3000万円、預貯金1000万円を妻と子が相続する場合

法定相続人は妻と子で、それぞれが法定相続分の2分の1ずつを継ぐと、預金の取り分は500万円。自宅の所有権を持っていても、残された妻は生活資金に不安が残ります。

そこで配偶者居住権を利用するとどうなるか。

居住権は不動産権利の一部のため、その評価額は所有権全体より低くなります。居住権だけであれば評価額は1000万円となり、預金は1000万円全額を相続して全体の2分の1。子は居住権を除く家の所有権評価額2000万円を相続するという流れです。

増える配偶者居住権利用者

法務省によると、配偶者居住権の設定登記の申請数は2020年度に301件、2021年度に937件と、3倍に増加しています。配偶者居住権を使うように遺言を書き、相続がまだ発生していない分も含めると今後も更に増える見込みです。

はじめ、この制度の狙いは、相続人が後妻と先妻の子になるなど、配偶者と他の相続人の関係が良好でない場合に限られていました。しかしふたを開けてみると、争いがない親子も積極的に使ったり関心を示しているようです。配偶者が息子に先立たれた場合の、残された妻との紛争を避ける保険として検討されているケースがその例です。

節税効果が普及後押し

この制度は配偶者の保護を目的としているため、配偶者本人が亡くなると権利は消滅します。そのため配偶者が亡くなったあとの

2次相続では居住権は課税対象になりません

例えば

夫の遺産 自宅6000万円と預金2000万円の場合

1次相続で配偶者居住権を使わず、妻と子が半分ずつ(自宅3000万円、預金1000万円 合計4000万円)相続したとします。

このときに特例などを用いて相続税がかからず、その後も財産額が変改しなかった場合、妻が亡くなったあとの2次相続では、1次で妻が相続した4000万円分が課税対象になります。基礎控除を上回り、相続税がかかってしまいます。

これに対して配偶者居住権を使って、妻が居住権2500万円と預金1500万円相続した場合。2次相続では配偶者居住権が課税対象外となりますから、課税対象は預金1500万円となり相続税はかかりません。

配偶者居住権を利用する注意点

この制度は容易に利用できるわけではないためあらかじめ心構えが必要です。

登記しないと他人に権利を主張できない

まず、遺言や遺産分割協議で配偶者が居住権を取得したら、法務局で居住権の登記をします。これをしないと

第三者に権利を主張できません

居住権を登記しなかった場合、子が所有権を売却し、妻が住み続けられなくなる危険性もゼロではありません。

地味に費用がかかる

配偶者と子が相続する1次相続では、配偶者居住権の価値を計算する必要もあります。居住権も相続税の課税対象になるからです。登記手続きもですが、この価値の計算は高度なため、専門家に頼むと費用が発生します。

登記後、配偶者居住権は放棄したり解除したりできます。しかこの制度については

配偶者は亡くなるまで権利を持ち続けるのが基本の考え方。

生前に居住権を放棄したり、子が合意の上で居住権を解除したりすると、

妻から子に贈与があったとみなされ、子に贈与税が課される場合があります。

妻の居住権を確保しつつ、子の代になったときの相続税対策もできるこの制度。あくまで配偶者保護が目的であることを忘れず、上手に活用していくことで、安心して思い出のお家に生涯住み続けていくことができるのではないでしょうか。

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