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宅建勉強7月5日(火)
2022.07.05
問31
宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)が借主Dから媒介の依頼を受け、BとDとの間で賃貸借契約を成立させた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。なお、1か月分の借賃は8万円とし、借賃及び権利金(権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)には、消費税等相当額を含まないものとする。
- 建物を住居として貸借する場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。
- 建物を店舗として貸借する場合、AがBから受領する報酬とCがDから受領する報酬の合計額は88,000円を超えてはならない。
- 建物を店舗として貸借する場合、200万円の権利金の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の額の合計は、110,000円を超えてはならない。
- Aは、Bから媒介報酬の限度額まで受領する他に、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。
解説
- “建物を住居として貸借する場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。”正しい。貸借の媒介・代理では、「借賃の1月分+消費税」が依頼者の双方から受領できる報酬の限度となります。ただし、居住用建物の媒介の場合、依頼を受けるに当たってその依頼者からの承諾を得ているときを除き、依頼者の一方から受領できる報酬は「借賃の0.5月分+消費税」以下という制限があります(報酬告示第4)。
本問では借賃が8万円なので、Dから承諾を得ていなければ「8万円×0.5月×1.1=44,000円」がDから受領できる報酬の限度額となります。 - “建物を店舗として貸借する場合、AがBから受領する報酬とCがDから受領する報酬の合計額は88,000円を超えてはならない。”正しい。貸借の媒介・代理では、「借賃の1月分+消費税」が依頼者の双方から受領できる報酬の限度となります(報酬告示第5)。複数の宅地建物取引業者が取引に関与するときでも限度額は変わりません。
よって、A及びCがB及びDから受領する報酬は、合わせて「8万円×1.10=88,000円」以下である必要があります。 - “建物を店舗として貸借する場合、200万円の権利金の授受があるときは、A及びCが受領できる報酬の額の合計は、110,000円を超えてはならない。”誤り。居住用建物以外の貸借の媒介・代理で権利金の授受がある場合、その権利金の額を売買代金とみなして報酬額を計算することができます(報酬告示第7)。
売買代金が200万円以下のときは「売買代金×5%+消費税」が基本報酬額となるので、A(代理)がBから受領できる報酬額200万円×5%×1.1×2=220,000円C(媒介)がDから受領できる報酬額200万円×5%×1.1=110,000円依頼者双方から受領できる報酬額220,000円この制限に違反しないように報酬を受領することになります。A及びCが受領できる報酬の額の合計は220,000円です。 - “Aは、Bから媒介報酬の限度額まで受領する他に、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。”誤り。通常の広告費用、通常の物件調査費用は宅地建物取引業者の負担となります(解釈運用の考え方-第34条の2関係)。よって、依頼者の依頼によらない通常の広告の料金を報酬とは別に受領することはできません(報酬告示第9)。
本来の報酬と別途受領することができるのは、依頼者からの依頼に基づく特別な広告や調査の費用に限られ、これらを受領するためには、依頼者に事前説明して同意を得ておくことが必要とされています。
したがって誤っているものは「二つ」です。