不動産コンサルティングの住宅比較株式会社

スタッフブログ

宅建勉強1月9日(日)

2022.01.09

住宅比較の吉田です。

問1

Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、甲土地の所有権移転登記を備えなければならない。
  2. Bが甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある建物を有するDに対して、Bは自らが甲土地の所有者であることを主張することができない。
  3. Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をEに売却した場合、Eは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。
  4. Bが甲土地の所有権移転登記を備えた後に甲土地につき取得時効が完成したFは、甲土地の所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。

解説

  1. “甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、甲土地の所有権移転登記を備えなければならない。”[誤り]。民法では、物権の設定や移転は当事者の意思表示のみで効力を生じるとしている一方、不動産の物権については登記がなければ第三者に対抗できないとしています(民法176条民法177条)。判例は単に不法占有している者はこの第三者に当たらないことを示しています(最判昭25.12.19)。
    所有権の移転自体はAB間の契約によって効力を生じていますから、Bは所有権の登記がなくても、不法占有者Cに対して所有権に基づく妨害排除請求をすることができます。
  2. “Bが甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある建物を有するDに対して、Bは自らが甲土地の所有者であることを主張することができない。”正しい。Dは借地上に自身名義で登記された建物を有しており、賃借権の対抗要件を備えています。甲土地の登記を備えていない譲受人Bは、賃借権の対抗要件を備えた賃借人に対して、甲土地の新たな所有者であることを主張することはできません(民法605条3項)。
  3. “Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をEに売却した場合、Eは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。”正しい。本肢では、AからB、BからEへの所有者が移っていますが、当事者間であれば登記がなくても所有権を主張することができます。判例では、転々譲渡がされたとき、前々主(A)は民法177条の第三者に当たらないことが示されています(最判昭39.2.13)。
  4. “Bが甲土地の所有権移転登記を備えた後に甲土地につき取得時効が完成したFは、甲土地の所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。”正しい。BはFにとって時効完成前に登場した第三者になります。時効の援用者は時効完成前の第三者に対して、登記なくして所有権を主張することが可能です(最判昭41.11.22)。
    したがって誤っている記述は[1]です。

土地探し・家づくりのご相談を
お待ちしております。