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宅建勉強1月10日(月)
2022.01.10
問2
AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。
- AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。
- Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けた悪意のCに対して、錯誤による当該意思表示を取り消して、甲土地の返還を請求することができる。
- Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示を取り消して、甲土地の返還を請求することができる。
解説
- “AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。”正しい。意思表示の瑕疵により取り消しが行われた後に登場した第三者と取消権者は対抗関係に立ちます(大判昭17.9.30)。この場合、先に登記を備えた方が所有権を主張できるので、Aは登記を備えたCに対して返還を請求することはできません。
- “AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。”正しい。詐欺による意思表示の取消しは、善意かつ無過失の第三者に対抗することができません(民法96条3項)。逆を言えば、悪意や有過失の第三者に対しては詐欺による取消しを対抗できるということです。よって、取消権者Aは悪意のCに甲土地の返還を請求することができます。
- “Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けた悪意のCに対して、錯誤による当該意思表示を取り消して、甲土地の返還を請求することができる。”正しい。意思表示に要素の錯誤がある場合、表意者に重大な過失がないことを条件に意思表示を取り消すことができます(民法95条1項)。ただし、錯誤による取消しは善意無過失の第三者には対抗できません(民法95条4項)。
本肢の第三者Cは悪意ですので、重過失のないAはCに対して取消しを対抗することができます。 - “Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示を取り消して、甲土地の返還を請求することができる。”[誤り]。肢3のとおり、意思表示に要素の錯誤がある場合、表意者に重大な過失がなければ意思表示を取り消すことができます。重大な過失がある場合でも、相手方が悪意または重過失、または相手方が同一の錯誤に陥っていたときには取り消しできますが、本肢はどちらの記述もないので取り消せません(民法95条3項)。
したがって誤っている記述は[4]です。