不動産コンサルティングの住宅比較株式会社

いろんな比較

【空家】共創生む「空家DAO」

こんにちは。住宅比較の森田です。

総務省によると、全国の空家数は900万戸(空家率13.8%)と過去最多を記録しました。このうち売却予定や賃貸利用目的でない「目的なし空家」は385万戸。地方では、賃貸や売却の目的がある空家でも活用されにくいマッチングの難しさが課題になります。

今回は6月4日の住宅新報より、空家問題を解決するミクロ・マクロ二つの視点について、そしてマクロの視点で空家問題に取り組む企業を紹介します。

官民連携まちづくりの視点が大切

全国空家対策コンソーシアム代表理事の川口哲平氏(クラッソーネ)は、最新の空家動向は従来の予測データを下回っている点を指摘し、

「一定の効果はみられる」と分析します。同氏によれば、空家対策は本来、空家所有者の課題を売却・除却等で解決するミクロ視点と、需要者となる世帯数と新築供給のバランスから考えるまちづくり視点(マクロ視点)の両方で考えることが必要とのこと。このマクロ視点が不足しているとして、全国空家対策コンソーシアムは発足しました。

調査研究により、「長期空家が10万件を超えると、地価下落で1.47兆円の経済損失と290万人のQOL低下に繋がる」とのデータが示されました。今後は「外部不経済解消(空家問題解消)による経済効果」等を検証することで行政の意識向上や政策決定に寄与したい考えです。

適切な除却の加速も

人口減少時代に街をダウンサイジングするためには適切な除却・解体が必要。解体DXプラットフォームの推進により、人手不足を課題とする解体業界の報酬体系や工事品質に寄与するクラッソーネは、累計14万人の利用実績を持ちます。川口氏は、行政代執行を回避することで所有者・行政双方の費用負担を抑えた事例や、所有者不明空家を隣地者が財産管理制度を用いて除却・売却し駐車場利用した事例を示し、「既にその地に住む近隣者が土地活用していく視点で除却することも有効」と話します。

共創生む「空家DAO」

2016年以降、首都圏と関西圏を中心に空家活用事業「アキサポ」を展開し、これまで320件以上の解決に導いているのがジェクトワンです。同社が今年5月に、WebのスペシャリストSOUQと手を組み、新たな流通スキーム「空家DAO」に実証実験に着手しました。国交省が公募した23年度空家対策モデル事業にも採択されていて、今回、静岡県御殿場市と1市2社連携による実証実験が始まりました。

空家所有者からの相談・物件紹介に対して「空家DAOメンバーズ」の中から複数のサポート者が参加してプロジェクト化。物件への出資やリソース面の支援等で関与し、物件の収益や利用権利等でリターンを得るものです。

メンバーズが空家運用の専門家ではなかったり、意思決定者が複数いて事業が進まなかったりする懸念事項を配慮し、スークがプラットフォーマーとして参画。ジェクトワンも運営の伴走支援に注力し、「アキサポ」の案件化や仲介等でフィーを得る仕組みとしました。

新たな流通スキームの運用課題を見極めながら、空家対策に関わる官民連携を強化できるかどうか。担い手となるプレーヤーの獲得とj層化していく組織体系の構築も今後の課題です。適切な管理・活用・除却も含めた空家の対策は、まちづくりの方向性を議論する好機となるのです。

カテゴリ

年別アーカイブ

土地探し・家づくりのご相談を
お待ちしております。