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宅建勉強1月30日(日)
2022.01.30
問4
いずれも宅地建物取引業者ではない売主Aと買主Bとの間で令和4年7月1日に締結した売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。
- 売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。
- Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。
- 目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。
解説
- “BがAに対して手付を交付した場合、Aは、目的物を引き渡すまではいつでも、手付の倍額を現実に提供して売買契約を解除することができる。”誤り。買主から売主に手付が交付された場合、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供することで契約解除することができます(民法557条)。売主Aが目的物を引き渡す前であっても、買主Bが契約の履行に着手(代金の一部または全部の支払いなど)した場合、もはや手付解除はできないので本肢は誤りです。
- “売買契約の締結と同時に、Aが目的物を買い戻すことができる旨の特約をする場合、買戻しについての期間の合意をしなければ、買戻しの特約自体が無効となる。”誤り。買戻しとは、売買代金や契約の費用を売主に返すことで、売買契約を解除し、売買目的物を取り戻すことができる旨の特約です。買戻しできる期間の上限は10年で、期間を定めなかったときは5年間となります(民法508条3項)。期間の合意がない場合でも買戻しの特約は有効なので、特約自体が無効となるとする本肢は誤りです。
- “Bが購入した目的物が第三者Cの所有物であり、Aが売買契約締結時点でそのことを知らなかった場合には、Aは損害を賠償せずに売買契約を解除することができる。”誤り。他人の権利を売買目的物としたときは、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負います(民法561条)。これは他人物売買であることについて売主の善意・悪意を問いません。もし売主がこの義務を果たさなかった場合には、買主に対する債務不履行となるので、債務不履行の一般原則に従って、買主は売主に対して損害賠償請求をすることができます(民法564条、民法415条)。
- “目的物の引渡しの時点で目的物が品質に関して契約の内容に適合しないことをAが知っていた場合には、当該不適合に関する請求権が消滅時効にかかっていない限り、BはAの担保責任を追及することができる。”[正しい]。種類・品質の契約不適合について買主が売主の担保責任を追及するには、原則として、買主が不適合を知ってから1年以内にその旨を売主に通知する必要があります。ただし、本肢のように、売主が引渡しの時に種類・品質の契約不適合について悪意または善意重過失の場合には、買主は当該通知をしなくても、担保責任の請求権が消滅時効(請求できることを知ってから5年 or 引渡しから10年の早い方)にかかるまで担保責任を追及することができます(民法566条)。
したがって正しい記述は[4]です。