不動産コンサルティングの住宅比較株式会社

いろんな比較

【選択】選び放題なのに不満?品ぞろえの罠

こんにちは。住宅比較の森田です。みなさんは大型スーパーで買い物することはありますか?広さ、品ぞろえの多さ、価格の安さにワクワクしますよね。しかし家に帰ってみて、やっぱりあちらを買えばよかった、逆になんでコレ買っちゃったんだろうと後悔したこと、ありませんか?また、行列ができるような有名店。やっと自分の番が来たけれど後ろも並んでる。そんなとき本当はゆっくり選びたいけれど、すべてのメニューを見ることなく、「おススメ」「人気No.1」と書いてあるメニューを選んでしまったことはありませんか?このように、多くの品ぞろえによる選択肢の多さは、豊かさの象徴である一方選ぶたびに後悔や不満が募ることを、広島大学の有賀教授は「選択のオーバーロード現象」と名付けました。本日は2022年1月24日の日経新聞より、品ぞろえの多さがもたらす売り手と買い手のすれちがいをご紹介します。

選択のオーバーロード現象

この言葉は広島大学の有賀教授による言葉です。多くの選択肢がもたらす必要以上の情報を負担に感じ、決断や行動が遅れてしまう状態を指します。研究の一つを見てみましょう。大学生48人に、12種類のスイーツの画像と4種類のスイーツの画像を見せ、それぞれから好みの3種類を選ばせます。当然たくさん選べるほうが嬉しいと思いきや、研究は意外な結果を残します。12種類から選んだ人のほうが「後悔」や「選び直したい」という思いが強かったのです。これ現象は実際の社会でも条件がそろえば起こります。

□数のオーバーロード現象 品数に圧倒される消費者

全国スーパーマーケット協会の調査によれば、総菜の品ぞろえが「前年から増えた」との回答は都市圏で4割に達し、増加傾向が続いています。売り場によってはトマトだけでも15~20種類、ヨーグルトは110~150種類になることも。

以下、コロンビア大学のシーナ博士が『選択の科学』の中で行った実験です。

試食コーナーに6種類のジャムを置いた場合立ち寄った客の30%が購入しました。しかし24種類に増やすと購入率は3%という結果に。通販サイトやスーパーで、膨大な品ぞろえをうたうところがありますが、選ぶ機会と購買意欲は比例しないことがわかります。

売り手と買い手のすれ違い

品ぞろえが増える背景は、価格をめぐる消費者とメーカーの関係があると分析する専門家がいます。消費者は「新しいものは好きだけど値上げは嫌だ」、メーカー側は「価格競争は避けたい」という思惑です。その結果、わずかな違いの新商品で従来の販売価格を維持する戦略がきいて品数が増えていくのです。こうなってしまうと、どんなに多くの品数があっても、その知識がないと違いがわからず、消費者がかえって選びにくくなり購入につながらなくなります。

双方が「選択する」ことへの心得を

以上の結果から、品数を減らせばいいんだ、と考えるのは早計です。ある実験では、欲しい商品へのこだわりが強いと、選択肢が多くてもそれを苦にする様子はなく、関心が低くても価格が安ければ多くの選択肢をむしろ歓迎するという結果が出ています。

買い手側の多様化で、多くの選択肢が生まれるのは仕方がないことなのです。まず大切なのは、買い手側が自身の希望と向き合い、選択肢を絞ることです。「Tシャツが欲しいな」だけでなく、デザインは?色は?生地は?価格帯は?なるべく具体的にイメージすることで、ロスを削減し満足感のある購入ができることでしょう。

これは住宅を購入する場合にもいえることです。希望のエリアや条件を、なるべく細かく決めておく。その条件に優先順位をつけておくと、もし希望の物件が見つからなかった場合に折り合いを付ける順番も落ち着いて決めることができます。行列の店で自分のうしろにも人が並んでいるとうまく注文できないように、焦ると選択がうまくいかない傾向も伺えるため、一旦決断を先送りにすることも一案です。

そして不動産業者側はお客様の希望をしっかり把握し、売ることだけを考えるのではなく、お客様が後悔なく納得して選択できるようにその物件一つ一つにきちんとした知識を持っていなければなりません。

選びたい放題なこの時代だからこそ、本当に必要なものを選択していく「目」と、それをサポートする「知識の提供」が必要なのではないでしょうか。

カテゴリ

年別アーカイブ

土地探し・家づくりのご相談を
お待ちしております。