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宅建勉強12月12日(日)

2021.12.13

Aが甲土地を所有している場合の時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。
  2. Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
  3. Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。
  4. Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。

解説

まず所有権の取得時効の基本的な要件を確認します。

  • 所有の意思をもった占有
  • 平穏かつ公然の占有
  • 占有開始の時に善意無過失であれば10年、そうでなければ20年の占有継続
  1. “Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。”正しい。占有者は、自己の占有のみを主張することも、自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することもできます(民法187条1項)。また占有は相続により承継されます(最判昭37.5.18)。よって、Cは自己の3年とBの17年を併せて20年の占有継続を主張し、甲土地の所有権を時効取得することができます。
  2. “Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。”[誤り]。占有開始時に善意無過失であれば、その後悪意に転じたとしてもそのまま平穏かつ公然に10年占有を継続すれば時効取得が可能です(民法162条2項)。Dは占有開始時に善意無過失だったので、「3年+7年=10年」の占有継続で甲土地を時効取得をすることができます。
  3. “Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。”正しい。占有について前の占有者の占有を併せて主張するときは、悪意や過失等の瑕疵も一緒に承継します(民法187条2項)。本肢のように前の占有者と後の占有者の主観的要件や過失が異なる場合には、最初の占有者につき占有開始の時点においてこれを判定します(最判昭53.3.6)。前の占有者であるDは占有開始時点で善意無過失ですから、Fは自己の7年とDの3年を併せて10年の占有継続を主張し、甲土地の所有権を時効取得することができます。
  4. “Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。”正しい。所有権が消滅時効にかかることはありません(民法166条2項)。時効取得により喪失することはあっても、自然に権利が消滅することはありません。
    したがって誤っている記述は[2]です。

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