スーパーセールスの軌跡
《第24話》住まいの道しるべ エピソード1
前回、住まいの道しるべを使ったロープレ大会のことを書かせていただいたことにより、私の中で、小さな“気づき”を見つけることが出来ました! それは、もっと私が実際に経験したエピソードをここでは書いていった方が読んで頂いている皆さんにも良いのではないかと、感じました!
私が読む側の立場で読んでいても、テクニックやマニュアル的なことを読んでも、結して面白くないですよね! 経験談であれば、同じ仕事をしている立場で、気持ちの共有も出来ます。やはり、ここでは皆さんに、 「こんな時があった…。」 「こんな時は、こうすれば良かったのか…。」 などという言葉が出るような、内容にしたいと思います。 そこで、これからしばらくの間は、私が「住まいの道しるべ」を活用したときのエピソードを書いていきたいと思います。 しばし、お付き合いくださいませ!
エピソード1
「契約日に何も持たずに来たお客様」
このお客様、「以下S様」との出会いは、5年ほど前のことです。
「住まいの道しるべ」の自分史を活用することで契約になった方のエピソードです。
S様は当時、奥様と1歳になるお子様と3人で展示場へご来店されました。
お話を伺うと、現在の住まいと職場に程近い場所に、良い土地を見つけて契約をしてきたとの話しでした! 既に、不動産会社から紹介されているメーカーからもプランは提出されている状況でした。奥様は、金額や間取りでかなり気に入っているご様子で、展示場には全く興味を示されていませんでした! ご主人は一生の買い物だから…。と奥様を無理やり展示場に連れてきたとのことでした。
展示場を廻りながら、当社の“楽しい家づくり”や建築事例の写真(これも道しるべ)をお見せしているうちに、当社の家の良さに気づき始めていただき、徐々にご主人とは心が打ち解ける感覚がありました!
奥様は…。 「…。」 どちらかと言えば、心の中は、「メーカーも決まっているから、早く帰ろう!」という顔をしていました! しかし、ご主人からは、どこかそのメーカーに対しての不安を感じていたご様子なので、思い切って、率直に!「どこで建てるのですか?」と聞いてみました!
奥様は、ギッ!とした目で見ていましたが、ご主人は、素直に「K」です! と答えていただけました!
ついでにと思い、土地と建物でどれくらいの予算を考えているかを聞くと、両方で4000万円という事も簡単に教えていただけました!
そこで、私の知っている限りの「K」というメーカーの知識から、失礼がない程度にこのようなことを話しました!
- コストのお安い会社なので、当社ですと35坪くらいですが、「K」ですと40坪の家は建つ事。
- デザイン性の自由性は当社より低いこと
- お互いに保証はしっかりしているが、保証内容の違いについて
- そして、当社だと4000万円では不可能なこと。
土地代金が1600万円、そして敷地の状況やご希望を考慮すると、4200万円は必要でした!
率直にお伝えしたので、奥様は直ぐに展示場を出て行ってしまいました!
「きっと、私の話が気に入らなかったのかな…!」 ご主人としては、やはり同じお金を出すのなら、納得のいく家づくりを希望していた様子で、是非プランを書いて欲しいとのお話を頂くことが出来ました!
それから商談がスタートしました! 商談には、予想通り奥様は参加されませんでした。
プランに対しての意見は、ご主人を通じて伝言で流れてくるだけのお付き合いになっていました!
やはり、商談を続けていきますと、当初私が説明したとおり坪数が小さく、価格も「K」よりも300万円は高い状態でした! それでも、ご主人は、私たちの家づくりに共感いただき、翌週にお金と実印を持って、契約をしていただける事に…。
私の中では、奥様の気持ちが心に引っかかっていたので、再度奥様とお話をされてから契約をして欲しいとお伝えしました!
皆さんもこのようなケースを体験してきたと思いますが、一般的にはこのような場合は、契約日にお断りが入るものです!
そんな時は、上司からも「奥様をしっかり押さえておきなさい!」という指示が出て、毎日奥様の所へ訪宅をするでしょう!!
たぶん、今の私も、上司としてそのように指導すると思いますが…。私はその時、契約日まで一切電話も訪宅もしなかったと思います。それは何故か…? それは、ご主人の目が真剣だったからです! 家族の為に、必要な家づくりに当社が必要だという目をしていました!
そんな、ご主人の気持ちを察するとまずは、ご夫婦で十分に話をすることが必要だと感じていました! そして、奥様も普段の夫婦の会話から、ご主人へは“信頼”を持っていると感じていました!
「これならば、必ず、当日は2人で来場していただける!」という、小さな自信で訪宅をしませんでした! しかし、世の中は、そんなに甘くは無いことは、契約日の当日に思い知らされました! 時間になっても来る気配が無い…! 電話も無い…。 さすがに心配になり、ご主人の携帯に…。
携帯に出たご主人からは…。
「とりあえず、今から行きます!!」
とりあえず…! ですか…! 私の予想どおり来場したご主人様は、車のカギ以外は手ぶら…! 私も思わず、「今日は手ぶらですか?」 と、一言!! ご主人の顔を見ると、悔しいという表情が…。
奥様の気持ちは、「デザインや性能よりも、大きさと価格」
ご主人の言葉では気持ちを変えることが出来なかったというお話でした!
ご主人からは、「この話しは無かったことにしたい!」の一言でした!
私は、ご主人に「奥様を説得しにアパートに一緒に行きませんか?」とお伝えしました! ご主人も、諦めがつかないようで、「是非来て欲しい」とのお話でした!
2人でアパートに着くと、奥様はお子さんとで私をとりあえず迎えてくださいました! お茶を出しながら、奥様より「リビングが小さいし…。金額が…。」「だから、スイマセン!」
私の中では、是非見てもらいたいものがありました!
“自分史”でした!
当時、私の気持ちの中には、“説得”というよりは、私という人間を見て欲しい! という気持ちでした。 その時私にも、生まれたばかりの三男がおり、S様のお子様と同い年でした!
私の、人生の歩みを、“自分史”で説明させていただきました!
転職してきたこと!
転職によって、家族には一時期、経済面で大きく迷惑をかけたこと!
大手で2世帯住宅を建てたけれども、多くの失敗をしたこと!
自分が、この仕事を通じて、家族にしてあげたい夢!
そして、家づくりを通じて、お客様との繋がり!
家族の幸せは、お客様の幸せがあって成り立つこと!
家族の写真をたくさんお見せしました!
そして、奥様に私から、
「私の所で家を建てると、リビングも小さいです! 価格も高いです!」
「でも、私の人生を“自分史”で見ていただいたのは、私を知っていただき、私の家族を知っていただくことで、大きなリビングには無い大きな信頼を買って頂きたいと思ったからです。」
「Kで家を建てても、良いものが出来ると思います。」
「当社で建てたら、良い家が出来るとも限りません!」
「それでも、ご主人は私を信じてくれています!」
「私を信じてくれているそんなご主人の為にも、一緒に家づくりがしたいと思っています。」
「そして、ご主人の為にも、私は奥様の為の家を作る義務があります。」
「私を信じられなくても、ご主人の想いを信じていただけないでしょうか?」
しばらくの沈黙の後…。
奥様より、「男の子が3人だと、奥様も大変ですね!」「家が出来たら、一緒に遊びましょうと奥様に伝えてください!」 …。
ご主人が泣いていました! それにつられて、私も奥様も泣いてしまいました! そして、テーブルの上には、奥様が内緒で準備していた契約一時金が…。
結局、奥様の前では、契約内容の説明は一切しませんでした!
奥様からは、「家の内容は主人から聞けるから…。」と一言! そして「家族のことを自信をもって話が出来て羨ましい」「あまり、自分からものを決めない主人が、ここに決めたと言った訳がわかりました!」と言っていただけました!
この契約で感じたことは、 まず反省としては、もっと早くに奥様の思いに気づいてあげられなかった点。
ご主人の気持ちを、奥様に早く伝えてあげられれば・・・という点。そして良かった点では、 “住まいの道しるべ”から私という人間を理解いただけた事。
そして、家づくりには家族の信頼が必要ということも気づくことができたと言うこと!
テクニックや知識だけでは、お客様の心は掴めない事も理解できた出来事でした。
いつも、“住まいの道しるべ”を手元に持っていたこと、自分史をしっかりと作っていたことで、きっと私の家族が応援してくれたとも感じられた出来事でした!
すでに、完成から4年経ちますが、S様とは今も仲良くお付き合いをさせていただいており、会社の仲間もご紹介いただいております。
自分史は、必ず大きな力を発揮します。 お持ちでない方、あるけれども更新をしていない方、見直ししてみてはいかがですか?