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宅建勉強8月6日(土)

2022.08.06

問4

Aは、A所有の甲土地にBから借り入れた3,000万円の担保として抵当権を設定した。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。
  2. 甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。
  3. AがEから500万円を借り入れ、これを担保するために甲土地にEを抵当権者とする第2順位の抵当権を設定した場合、BとEが抵当権の順位を変更することに合意すれば、Aの同意がなくても、甲土地の抵当権の順位を変更することができる。
  4. Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。

解説

  1. “Aが甲土地に抵当権を設定した当時、甲土地上にA所有の建物があり、当該建物をAがCに売却した後、Bの抵当権が実行されてDが甲土地を競落した場合、DはCに対して、甲土地の明渡しを求めることはできない。”正しい。1番抵当権が設定された当時、土地の上に建物が存在し、土地と建物の所有者が同一であった場合において、その後、抵当権の実行により当該土地が第三者に渡ったときには、その建物について法定地上権が成立します(民法388条)。
    本肢では建物の所有者がAからCに移っていることが引っ掛かる部分ですが、判例では上記の要件を満たしていれば、その後に土地または建物の所有者が変わった場合でも、法定地上権は成立するとしています(大判大12.12.14)。本肢ではすべての要件を満たしているので、建物がCに売却された後、抵当権の実行により土地と建物の所有者が別々になった場合でも、C所有の建物につき法定地上権が成立します。よって、DはCに甲土地を明け渡すように請求することはできません。
  2. “甲土地上の建物が火災によって焼失してしまったが、当該建物に火災保険が付されていた場合、Bは、甲土地の抵当権に基づき、この火災保険契約に基づく損害保険金を請求することができる。”[誤り]。抵当権には物上代位性があるので、抵当権の目的物が譲渡され若しくは滅失し、売買代金、賠償請求権及び損害保険金等に姿を変えた場合、抵当権の効力はそれらの請求権に及びます(民法372条)。しかし、土地に設定された抵当権の効力は建物に及びません。また同様に、建物に設定された抵当権の効力も土地には及びません(民法370条)。
    よって、Bは、甲土地の抵当権に基づき、建物に対する損害保険金を請求することはできません。
  3. “AがEから500万円を借り入れ、これを担保するために甲土地にEを抵当権者とする第2順位の抵当権を設定した場合、BとEが抵当権の順位を変更することに合意すれば、Aの同意がなくても、甲土地の抵当権の順位を変更することができる。”正しい。抵当権の順位の変更には、各抵当権者の同意及び利害関係者の承諾が必要ですが、抵当権設定者(=不動産の所有者)は「利害関係を有する者」に該当しません。よって、順位の変更を行う際にAの同意は不要です(民法374条1項)。
  4. “Bの抵当権設定後、Aが第三者であるFに甲土地を売却した場合、FはBに対して、民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することができる。”正しい。抵当権が設定されている不動産を取得した者(第三取得者)は、抵当権者に対し、提示した価額で抵当権を抹消するか2カ月以内に抵当権を実行するかの選択を迫ることができます。この制度を抵当権消滅請求といい、第三取得者が各債権者に対し民法第383条所定の書面を送付して抵当権の消滅を請求することで手続きが開始します(民法379条)。
    民法第383条所定の書面とは、取得原因、取得年月日、譲渡人と取得者の氏名・住所、対価、登記事項証明書等を含む書面です(民法383条)。
    したがって誤っている記述は[2]です。

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