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【設備】次世代の太陽光発電のメリットとは
こんにちは。住宅比較の森田です。
一昔前は、太陽光パネルを自宅に設置して家の電力を賄い、設置費用を回収した後は売電で儲かるというブームがありました。しかしそれから20年ほどたち、パネルの寿命や買取価格の低下が問題視されてもいる今、自家発電設備のメリットはあるのでしょうか。
今回はこれからの時代の太陽光発電におけるメリットや、新しいシステムなどを紹介します。
太陽光発電における1日の発電量
太陽光発電では1日にどのくらいの発電量を得ることができるのでしょう。
ソーラーパネルの「システム容量」1kWあたりの発電量は年間で約1,000kWh、1日だと約2.7kWhが目安とされています(JPEAより)。kWhは「1時間あたりに得られる発電量」の単位であり、出力容量(kW)×時間(h)で算出されます。
なお、ソーラーパネル1枚の公称最大出力は250W程度です。ただし、太陽光発電において、これらの数値はあくまで目安であり、実際は地域や季節、ソーラーパネルの種類、また経過年数によっても発電量は変動します。
〈太陽光発電で発電量を左右する要素〉
・システム容量:使用するソーラーパネルの性能・枚数によって決まる
・日射量:設置場所や角度、季節、天気、地域等によって決まる
・システム上発生するロス:パネルや季節によって異なる
一般家庭の太陽光発電で得られる発電量
一般家庭の太陽光発電で使われるソーラーパネルの多くは、システム容量が3~5kW程度となっています。
家庭用の太陽光発電では、屋根の上に載せられるソーラーパネルの量や、家庭内での電気の使用量、設置費用などにより発電容量が決まります。※家庭用(住宅用)のソーラーパネルのシステム容量は10kW未満。
太陽光発電だけで1日に必要な電気は足りる?
太陽光発電で発電した電気は、通常、蓄電池などがないと貯めておくことができません。そのため、実際に太陽光発電で作った電気だけで1日分の使用電力量すべてをカバーすることはできないでしょう。ただし、家庭で使用する分を超過して余った太陽光発電の電気は、電力会社に売電することで売電収入を得られます。その収入で、夜間分の電気代の一部をまかなうことは可能です。
なお、一般家庭の電気使用量の平均は年間4,300kWh程度ですから、ソーラーパネルのシステム容量1kWあたり年間1,000kWhとすると、
4.3kW分のソーラーパネル
を設置すれば、おおよそ年間の消費量分の電力を発電できることになります。(参考:環境省「家庭でのエネルギー消費量について」)
太陽光発電に必要な機器
ソーラーパネルだけでは、太陽光発電で作った電気を家庭で使用したり売電したりはできません。太陽光発電を行うときは、
・ソーラーパネル(太陽電池モジュール)
・パワーコンディショナー
一般的にはこれらの機器を接続して太陽光発電システムを構成しています。
ソーラーパネル
ソーラーパネルは、太陽電池を複数集めアルミ枠に入れて大きなパネル状にした製品です。太陽光パネルや太陽電池板、太陽電池モジュールなど呼ばれ方もさまざまです。ソーラーパネルに太陽光が当たることで、内部の電子が移動して電気が作られます。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーは、家庭内での使用や売電ができる「交流」の電気に変換するための機器です。太陽光発電で作られた電気は、そのままでは家庭で使うことができません。
ソーラーパネルで発電した電気をエアコンやライトといった住宅の電気として利用できるのは、パワーコンディショナーがあるからなのです。
蓄電池を利用して電気を貯める
「太陽光発電で作られた電気は、基本的に貯めておくことができない」ですが、蓄電池と太陽光発電を組み合わせると、昼間発電した電力を貯めておいて夜間に使うことができます。また、蓄電池があれば災害時などの停電に備えることもできます。
先ほど、パワーコンディショナーが必要という話をしましたが、最近では蓄電池が内蔵されているものも出ています。上記パナソニックのページでは、個人の発電ニーズに合わせた商品ラインナップになっております。
太陽光発電の設置費用
太陽光発電の設置費用は、この10年間で約4割低下していて、2020年の平均が1kWあたり28.6万円、過去の推移から推定される2021年の設置費用想定値が27.5万円となっています。(参考:経済産業省 調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」)
家庭用のソーラーパネルは3~5kWが多いため、2021年時点でのシステム設置費用の相場は
82.5万円~137.5万円程度
と言えるでしょう。機器のメーカーや住宅によって費用は変わります。特に設置する屋根の面数が増えたり、設置するために足場が必要になったりすると手間が増えるため費用は高額になります。ほかにも太陽光発電の設置費用に影響すると思われるのが、ソーラーパネルの屋根への固定方法です。
太陽光発電の設置費用を安くするコツ
一般家庭に太陽光発電を導入するには、100万円前後の高額な費用がかかります。できるだけ実質的な負担を減らし、おトクに設置するためのコツを見ていきましょう。
補助金制度を活用する
太陽光発電システムの設置には、国や地方自治体の補助金制度を活用できる場合があります。ただし、補助金にはいくつも種類があり、予算や対象となる要件、スケジュールなどがそれぞれ異なるため、必ず活用できるとは限りません。また、メーカー特典を付けているところもあるので、自分のニーズとよく比較することが重要です。
▼オムロンのサイトで各自治体の補助金制度が検索できます。
自治体別補助金制度検索 | エネルギー製品情報 | 社会の安心・安全・快適ソリューション | オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社 (omron.com)
費用対効果を高める
太陽光発電の費用対効果を高めるには、ソーラーパネルの発電効率とパワーコンディショナーの変換効率をチェックすることが重要です。
発電効率がいいパネルであれば、設置面積を少なくできる可能性がありますし、同じ面積なら発電量が多くなります。発電効率のよいソーラーパネルと変換効率のよいパワーコンディショナーを組み合わせれば、その分費用対効果を高められます。できるだけ効率の良いものを選ぶとよいでしょう。
東京電力グループの太陽光サブスクサービス「エネカリ」
「エネカリ」は、初期費用は0円※、月々定額の利用料のみで太陽光発電をはじめ、省エネ設備を導入することができるサービスです。利用期間中は故障時の修理費用も無料で、風水害や落雷などの自然災害補償も付いています。利用期間満了後には、そのまま無償で得ることができます。(参考:「でんきとの新しいくらし方」)
売電で儲かる…?
太陽光発電で発電した電気のうち、使いきれなかった分は電力会社に送り、買い取ってもらうことができます。これを「売電」といいます。しかし、電気の買取価格は年々下がっており、10~20年ほど前に太陽光発電を設置して高い価格で売電をしていた人などはメンテナンスも含めて家計の見直しが必要になる場合があります。
個人的には、これからの時代の太陽光発電のメリットは、
自然エネルギーで家の電力を賄い近年の自然災害の備えもできる
というメリットが一番大きいのではないかと思います。
家庭の電気を自然エネルギーで賄う目標を国が掲げ、設置を促すための待遇が設けられていますので、インターネットや自治体の情報をのぞいてみるとよいでしょう。