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【素材】輸入木材、在庫が半減
こんにちは。住宅比較の森田です。
今、住宅の柱や梁などに使う輸入木材の在庫が減っています。東京地区の輸入木材在庫は直近ピークの2022年8月に比べて半減しました。
新型コロナウィルス流行時によく耳にした「ウッドショック」から数年、木材の価格は下落が続いています。
今回は2023年2月8日の日経新聞より、輸入木材在庫減少の背景と現状をご紹介します。
背景は住宅向け需要の低迷
日本で流通する住宅用木材のうち、梁をはじめとする横架材の9割、柱の5割が輸入品です。
需給バランスを取るために輸入会商社が調達を控えました。農林水産省によると、2023年の製材品輸入量は333万4030㎥と、前年を32%下回りました。
キッチンなどの設備代や、人件費などの建築コスト増加で住宅の販売価格が上がり、買い控える消費者が多くなりました。国交省によると2023年12月の木造新築着工数は3万5730戸と前年同月比4%減でマイナスが21ヶ月続いています。
2023年夏には、大手製材会社の中国木材主要工場が火災で稼働停止。中国木材は木造住宅の梁に使う木材で3分の1ほどのシェアを握り、梁に使うアメリカ松材の流通量が激減しました。しかし都内の木材問屋の見解は、需要は弱く不足感はほんの一時のこととのこと。
在庫量の変動が大きくなったきっかけは、新型コロナの感染拡大でした。
海上物流が不安定となり入荷予定が見えづらくなったうえ、アメリカで巣ごもり中のリフォーム需要がきゅうかくだいしたのを発端としたウッドショックで世界的に木材価格が高騰しました。
日本でも住み替えやリフォーム需要が高まり、木材の不足感が強まりました。当時輸入商社はこぞって手当てを急ぎ、輸入木材を補完する東京湾岸竿いの物流施設では、「木材が倉庫に入りきらなくなり野積みされていた」ほどです。
流通価格は4万円減へ
木材の流通価格はすでに下落しており、アメリカ松材は2021年夏から2022年夏まで1㎥12万円でしたが、2023年後半には8万円台まで下がっています。
1月末時点の在庫量は、コロナ前の2019年を3割下回ります。木材流通会社の担当者は、コロナ前では考えられない少なさではあるものの、適度な水準とみています。
4月以降は建築にかかわる技術者の就労時間が制限されます。
「駅前再開発や大規模施設の建設に職人が流れ、家を建てる担い手が不足する」と予測する声も。
低い在庫水準はマーケットの縮小を示しており、商社や流通など各段階で再編が進む可能性があると大手木材流通会社の担当者は指摘します。
埠頭の倉庫外に山積みになった木材の写真を見て衝撃を受けたことを思い出します。新型コロナ感染拡大時は中古マンションが高騰しているニュースをよく見かけました。新築を控える動きが都内の中古マンションの価格高騰の一因であったと記憶しています。急いで木材を輸入して倉庫に入りきらないのに、消費者が注文住宅に消極的で乖離が生じている印象だったため、まだ木材は余っているものだと思っていました。
コロナが1年の始まりから明けている今年、各業界の巻き返し策が試されることでしょう。木材を追えば新築住宅の市場が見えてきます。今後の動きに注目です!