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【空家】相続土地問題、国が解決?
こんにちは。住宅比較の森田です。
今回は2022年5月21日の日経新聞より、遺産分割のあるある、
実家相続問題を解決する国策
をご紹介します。
会社員Aさんの苦悩
東京都に住む男性会社員のAさんは三人兄弟。実家は鳥取県で、母が一人暮らしをしていました。
その後母が亡くなり、相続人である三人は遺産分割会議を行います。
預貯金はスムーズに分割完了。しかしこのあと一番厄介な問題が…
そう、兄弟全員実家を出て持ち家があり、実家を誰も引き取ろうとしないという事態が発生したのです。
好立地にある空家であれば売却もしやすいですが、郊外やあまりよくない条件の空家は買い手が見つかりにくく、かといって放置すれば老朽化が進みさらに売れなくなります。
このような悩みを抱える人が最近増えています。国交省の調査によれば、空家を所有する人の過半数の取得原因が「相続」とのこと。結果全国的に老朽化した空家が増えており火事などの問題も深刻化しています。そこで国が決定したのが
相続土地国庫帰属制度
という制度。2021年4月に成立、施行は2023年4月27日です。
相続した土地、国が引き取ります
「相続土地国庫帰属制度」とは、相続した土地が不要な場合に一定の条件を満たせば土地の所有権を国に移転できる制度です。
この制度の注目ポイントは、2023年4月27日(新法施行日)以前に相続した人も利用できること。さらに、相続があったときに不動産の所有者名義を書き換える「相続登記」(例えば母→Aさんへ名義変更すること)を済ませていなくても申請することができます。(この場合は申請時に相続があったことを証明する書類添付が必要になる見込み)
ただし、国に引き取ってもらうためには、相続した土地がさまざまな条件を満たす必要があるのです。
立ちはだかる2つの難関
第一関門は制度の利用申請段階です。ここには条件を満たさないとそもそも申請を受け付けない「却下要件」があります。
1 建物が建っている土地
2 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
3 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
4 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地(これはあまり気にしなくて大丈夫)
5 境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
申請が受理されても安心できません。第二の関門は法務局の審査です。
ここでは5つの「不承認要件」が待ち構えており、これに一つでも当てはまるとやはり承認が下りません。
1 崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
2 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
3 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
4 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
5 上記のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
要するに、この制度で国に引き取ってもらえるのは
安全かつ完全な更地を相続した場合
いうことです。実家を相続していから自己負担で解体するとなるとだいたい数百万を視野に入れなければなりません。さらに申請が通った場合も、申請者は10年分の管理費相当額を国に納付しなければなりません。その額の目安は市街地の一般的な広さの土地で80万円ほど。
早いうちから対策を
Aさんのように、相続人が実家を相続する可能性が低いことがわかっている場合、相続の前からできることを対策していくことによって、制度利用がスムーズになります。例えば隣地との境界をはっきりさせておく、土地の面積が不動産の登記簿通りかを確認しておく、解体前に不要な家財道具を処分しておく、などです。
相続開始後はなるべく早く建物の解体に着手しましょう。空家は老朽化しやすいため、放置すると近隣への迷惑、ひいてはトラブルにつながりかねません。費用は相続人がそれぞれ相続した財産から公平に負担するのが望ましいです。
責任者を決め、判断を一任する約束をすることも、相続人が複数いる場合は有効でしょう。
相続土地は住宅比較にお任せください!
これまで国が相続土地を引き取ってくれるという制度をご紹介してきました。
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