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【税金】節税対策のつもりが…生前贈与の落とし穴と対策
こんにちは。住宅比較の森田です。家族に資産を引き継ぐとき、相続を待たずに渡す生前贈与という方法。贈与で相続財産を減らすことで相続税の節税につながるほか、子や孫などの家計を支援できるメリットがあります。しかし渡し方によっては不利になってしまうことがあります。今回は生前贈与の注意点等について、2021年6月21日の日経新聞よりご紹介します。
財産の相続税対策として、生前贈与で少しずつ渡していく「暦年贈与」をご存じでしょうか。財産をもらう人1人あたり年110万円まで非課税という基礎控除がある制度です。しかしこの「非課税の範囲で渡していたつもり」でも、実際贈与とみなされずに相続税の対象になってしまう場合があります。
暦年贈与が成立したと認められるためには、贈与者と受贈者が合意している証拠を示すことが必要になります。それぞれが署名、捺印した贈与契約書を、贈与がある年ごとに作成することが望ましいです。なぜなら契約書を作るのが最初の1年だけだったりすると、毎年110万円ずつ渡していたつもりでも、一括で贈与があったとみなされ、課税対象になる可能性があるのです。
さらに贈与の証拠を残すために贈与税を納める方法もあります。国税庁の統計によれば、暦年贈与で課税された人は2019年で約36万人と、2010年に比べ約40%増加。贈与された金額は「150万円以下」だった人が33%を占めています。基礎控除額110万円をやや上回る金額を贈与し、あえて贈与税を払う人が多いとみることができます。
生前贈与は早めに着手することも重要です。贈与した人が亡くなった場合、過去3年間の贈与は相続財産とみなされ課税対象になるからです。そしてこの期間はさらに長く変更される可能性があることに注意。与党が贈与税について見直しを検討しているのです。一括贈与の非課税制度も早めに利用を考えるのが吉です。下図をご覧いただけば分かるように、それぞれの特例に期限があるからです。
そして生前贈与で一定の節税効果を見込めることは確かですが、贈与が有利か慎重に見極めることも大切です。例えば配偶者に自宅を渡す場合は、生前贈与では婚姻関係20年以上の夫婦の場合2,000万円までが非課税。しかし相続なら配偶者は1億6,000万円までが非課税なのです。必ずしも急いで財産を渡す必要がない場合があることも頭にいれておきたいです。
節税対策として贈与することばかりにとらわれず、まずは自身の老後資金を確保したうえで慎重な計画を立てていくことがポイントです。