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【税金】制度改革に必要な政経両面視点

こんにちは。住宅比較の森田です。いま、少子高齢化社会における対策として、異次元の子育て支援が提示されています。そしてその詳細や財源が不透明であるという問題が必ずついて回ります。財源を明らかにできないのは、予算確保案の一つに増税があるからかもしれません。今回は4月3日の日経新聞より、財政改革における経済的実現と政治的実現の乖離についてご紹介します。

以前から、多くの経済・財政学者により持続可能な財政・社会保障制度改革は提案されてきました。しかしその多くに含まれる消費税率の大幅引き上げ、歳出削減などの財政緊縮策は政治的に不人気とされ、避けられてきました。

過去の対策案は

というものだったのです。現在日本は下記のような原則がある財政民主主義を採用。

財政問題に関して、実際に効き目のある対応策を講じるためには、経済的実現可能性と政治的実現可能性の双方を、どちらかに偏りすぎないよう慎重に満たす必要があります。

東京財団は経済学者と共同研究で双方の実現性を両立させた財政・社会保障制度改革の在り方を研究してきました。その中で、「経済学者」と「国民一般」の両者に、財政・社会保障問題について13の同じ質問を行い、結果を比較するという調査がありました。経済学者の認識と国民一般の認識にどれくらいのギャップがあるかを計れるものです。

調査の結果、経済学者と国民の意識乖離は想定より全体的には小さいものとなりました。社会全体の方向性に関する問いでは、両者の意識は近かったとのこと。

財政赤字についても、両者とも大多数が問題だと思っていました。

両者の認識に大きなギャップが出たのは

消費税に対する認識です

経済学者は消費税に対して、「世代間で公平」や「安定財源」とプラスの認識を持っていて、半数以上が

税率を引き上げるべき

と回答しました。一方国民は消費税に対し、「逆進的で不公平」「景気に悪影響」などマイナスの認識を持つ回答が多く、

廃止や引き下げを求める

声が約4割に達しました。

長期的な推計をベースに出された過去の財政・社会保障制度の改革案は、消費税を20〜40%程度に引き上げることを提言するものでした。

この認識の乖離がある状態では、経済学者の視点では実現可能でも、国民が反対するのは明らかです。しかし消費税率引き上げを避けていては経済学的には財政の持続が困難。このジレンマから抜け出すのは容易ではありません。

ではどうすればいいのか。著者によれば、まずは消費税に対する経済学者と国民の認識の乖離を埋める作業が大事とのこと。いくら経済学者が消費税に対して公平で安定した財源と思っていても、国民と認識がズレていては消費税率引き上げが実現することはありません。現に私もこの記事を読むまでは増税の話題を見るとマイナスなイメージを持っていました。でも確かに、消費税は収入関係なく物を買った時に等しい率で納めるものだなぁと、少し認識が変わりました。

政策側がまずこの世論を把握し、国民に寄り添いつつ意識を変えるよう働きかけ続けていくことが、両者の意識を同じ方向へ向ける近道のようです。

また世界では、増税より歳出削減を志向する傾向が各国で見られるようです。日本も1970年代、消費税の原型である「一般消費税」が、世論の反発で頓挫した際、政府は行政改革を通じた歳出削減に一旦転じました。

今回の結果もそれを裏付けています。著者は、それならば当時のように、歳出の削減と抑制を徹底した場合の姿を国民に見せ、規模的に消費税増税が必須になることを説明することで説得力が増すと考察しています。

私は30歳手前ですが、消費税導入が意外と遠い昔の話ではなかったことには驚きました。そして当時は、元々なかった税金を新たに導入しようとしていたわけですから、今よりきっと更に国民の反発は大きかったことと思います。増税に反対しているメイン層は、おそらくですが私と同年代か少し上くらいの、消費税が当たり前にある時代に生まれた人々なのではないでしょうか。政治のリーダーには増税することの必要性を、国民に寄り添って説明してもらい、世論が納得したうえでの景気回復、社会保障制度の向上を願います。

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