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【政策】多様な働き方とずれる育児支援

こんにちは。住宅比較の森田です。

新型コロナ禍や女性の社会進出、転職の風潮変化等で、現代の働き方は多様化しています。それに対する政府の育児支援が追いついていません。本日は2月21日の日経新聞より、育休取得者と再就職者・主婦に対する育児支援の差をご紹介します。

退職すると育児支援が10分の1?

民間の調査では、出産を機に退職して再就職するといった場合、企業などの育児休業を利用する人と比べて支援総額が10分の1程度になるとの試算があります。

育児休業

育児・介護休業法に基づき、原則として1歳未満の子供を育てる男女の労働者が取得できる休業制度を指します。保育所に入れないといった場合では最長で子どもが2歳になるまで延長できます。一定要件を満たせば休業中に育休給付などの経済的な支援を受けることができます。

雇用期間が決まっている有期契約の労働者(契約社員)でも条件を満たせば利用できますが、日雇い労働者は対象外となっています。労働者が任意で利用できる権利で、申し出ることで取得できます。企業側に育児休業を取らせる義務はありませんが、2023年4月からは、従業員数が1000人を超える企業には育休取得率の公表が義務付けられます。

厚生労働省の雇用均等基本調査によると、2021年度の育児休業の取得率は女性が85.1%、男性が13.97%でした。この大差を受けて、政府は2025年までに男性の取得率を30%に高める目標を掲げます。男性が子どもの出生後8週間以内に最大4週間取得できる「産後パパ育休」制度も2022年10月に始まりました。

大和総研の調査では、育休を取得して子どもが2歳になるまでに復帰した人への育児支援は

601万から929万円程度

ありました。育児休業給付のほか、保育所に預けられる価値などを現金換算した試算結果です。退社した人や、もともと専業主婦だった人が、子どもが3歳になるまで在宅で育児する場合は

69万円

にとどまります。

政府は20日、こども政策の強化に関する関係府省会議を開きました。保育サービスの強化をめぐり有識者からの意見を聴取。岸田首相は会議で、「次元が異なる子ども・子育て政策を進め、日本の少子化トレンドを何とか反転させたい」と述べました。

家計難で子1人

上のグラフは出産に関する人生設計の希望を女性に聞いたものです。約半数が育休を使って企業に勤め続けたいと回答しています。2001年度時点では正社員の女性は「仕事か子どもか」選択しなければならないほど制度が整っておらず、出産しづらい状況でした。

2010年頃からは社会保険に加入する正社員の出生率は上がり、専業主婦の被扶養者は下がりました。政府の少子化対策が、仕事を辞めずに育児休業を取る人の支援が中心だったことによります。「保育園落ちた死ね」というフレーズも少し懐かしい2017年頃、待機児童はピークの2万6081人でした。保育所の拡充により、2022年度には2944人に減りました。

一方出産を機に退社し、育児を経て転職する人への支援の拡充は遅れ気味です。経済的な理由から子どもを一人にとどめる家庭もあります。グラフが示すように、退職・主婦になって育児をしたい人は半数を超えています。今後はこの層への支援を拡充することが、労働力の増加や出生率の増加のカギとなります。

小1の壁問題

小学校入学を機に子どもの預け先に困り、仕事との両立が難しくなる「小1の壁問題」も指摘されています。学童の開いている時間が短く、親の帰宅に間に合わないケースがあるためです。先ほどの保育園への待機児童は減りましたが、新たな問題として、学童に入所を希望しているのに入れない「待機学童」は2022年5月時点で1万5180人。政府や自治体は、学童の職員を増やすことを目指しています。

政府は児童手当の拡充や子育て世代の働き方改革も含めて、3月末を目処に具体策をまとめます。

これまでの取り組みの延長だけでなく、女性の働き手の拡大や転職の増加といった足元の働き方の変化にも着目し、支援から漏れる人がないよう効果的な対策が求められます。

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