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【問題】老朽化マンション、建替えが進まない原因

こんにちは。住宅比較の森田です。

いま、マンション市場は、戸建購入や子の実家に住み替えるなどで中古(ストック)物件が増えています。新築マンションを検討していたけれど予想外に良い中古物件があったという方もいるのではないでしょうか。それもそのはず、下図をご覧下さい。

こちらは国交省による令和2年現在の分譲マンションストック数の推移図です。左の目盛りと黄色い棒グラフは新築マンションの供給戸数、右の目盛りと折れ線グラフは中古(ストック)戸数を表しています。新築は供給が低迷してきているのに対して、中古マンションは右肩上がりが続いています。中古の物件自体はたくさんあるのです。

では中古マンションがすべて良質かというとそうとも限りません。以下をご覧下さい。

こちらは築後30、40、50年超のマンション戸数を表しています。このグラフによれば現在、築40年超のマンション戸数は中古マンション全体の15%を占めています。現在103.3万戸の古いマンションは20年後には約4倍の404.6万戸になる見込みです。

中古物件の供給は増えている一方、老朽化マンションもまた増加していることが問題になっています。

マンションの建替え例は準備中なども含めて累計で約300件(2021年4月現在)と非常に少ないです。なぜこのような問題が起こっているのか、今回は2022年1月7日の日経新聞よりご紹介します。

■要因1:管理組合の資金不足

国はマンションの建替えに必要な管理組合の決議に必要な賛成数を全体の5分の4以上から4分の3かそれ以下にするなど要件緩和の検討を始めました。さらに法改正で、マンションの容積率緩和特例の適用拡大を進めています。2021年12月には老朽化に一定の基準を超える問題を抱えるマンションも適用対象としました。これにより建替え後に床面積を広げて、その売却で建替えの資金を調達する余地を広げる狙いです。

しかし管理組合が主体的に動かなければ特例は適用となり得ないことに加え、新たな売り出しが難しい事情を抱える管理組合が自力で資金をひねり出すことは厳しいでしょう。マンションの立地が良いなど好条件がなければ床面積を広げても買い手が見つからないからです。

■要因2:管理組合の決議自体が難しい

2018年度末の国交省の調査では56.3%ものマンション管理組合が「老朽化問題の議論をしていない」と回答。管理組合が機能していない老朽化マンションの件数が多いのです。これでは議決の賛成数が緩和されたところで、その決議ができません。

■要因3:賃借人への対応が難しい

同調査では老朽化したマンションほど、住んでいるのは賃借人で、高齢の所有者はすでに子どもらの家や介護施設へ移って不在という例も多いことが分かっています。1979年以前完成の場合、賃貸戸数の割合が20%超というマンションが約3割になります。建替え決議をクリアしても賃貸借契約は即座になくなりません。退去を拒まれれば建替えはストップしかねないのです。新たな仕組みも検討されていますが、賃借人保護の観点からも調整は難しいとみられています。

□解決に取り組むマンションに公的支援を

東京都中央区のライオンズマンション日本橋は築40年で約160戸あります。このマンションは昨年、2050年までの長期計画を策定しました。新築から数えると約70年近い超長期スパンの計画です。修繕する計画整備と並行して建替え推進プランも作り、すでに数年をかけて所有者の間で議論がなされています。こうした模範となるマンションを議決数緩和だけでなく資金面も含めて公的に支援する制度も検討すべきといえます。決議要件の緩和は目先の問題への対応に過ぎませんが、この機を逃さず、建替え困難なマンションが将来さらに増えないよう、都市計画など大きな視点からマンション開発に一定の規制をかけるといった議論がなされるようになることが課題です。

□住宅比較が取り組んでいること

弊社では定期的に空地、空家の所有者の方へ売却相談を伺うお手紙をお送りしています。空家・空地の処分に困っている方、家を建てたいのに空いている土地が見つからなくて困っている方双方に幸せになっていただくお手伝いをしています。最近はマンションの空き部屋所有者の方へもお手紙をお送りしました。ときにはスタッフが所有者様宅へ直接ご挨拶に回ることで、さらに深いヒアリング、問題解決に取り組んでおります。空き部屋を放置することは、所有している方はもちろん、将来建替えをしたいマンションの住民を困らせることに繋がりかねません。少しでもお困りの方はお気軽にご一報下さい。

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