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【不況】住宅ローン困窮5万人超
こんにちは。住宅比較の森田です。長引くコロナ禍の影響で、いま住宅ローンの返済に窮する人が増えています。金融機関から返済猶予などの救済を受けた人は5万人を超え、東日本大震災の際の5倍に達しました。一方新規ローンの融資額は伸び続け、一部の住宅価格はバブル期依頼の水準になっています。返済困窮者の増加と新規ローンの膨張が同時に進む事態に陥っているのです。職業によっては、借り換えを検討している人も仮審査さえ通らない状況です。
金融機関の救済の中身は半年から1年程度、毎月の返済を利息だけにする「元金据え置き」が多いとみられています。しかしこの制度は債務者の返済能力が戻るまでの猶予策に過ぎません。再建の目処が付かないと住宅を手放して返済に充てる交渉がされることもあり得ます。
一方住宅ローンの融資額は伸び続けています。日銀によると。2020年末の家計の住宅ローン残高は約220兆円と、前年比で約6002兆円も増加。好条件の住宅価格も、在宅ワークへの需要で上昇しています。2020年の首都圏新築マンションの1戸平均価格は6,000万円超えとバブル期以来の高水準にあります。
返済困窮者と新規ローンが同時に増える状況について、ある大手銀行のローン担当者は「住宅販売とローンは既に一体化したビジネスになっており、銀行だけの変化で流れが変わるほど容易なことではない」と話します。しかし、住宅市況の堅調さが返済困窮者の最後の砦ともいえます。中古住宅も好立地なら売り手が有利。住宅を手放す決心さえ出来ればレーンを完済して生活再建をする可能性は高い環境であるようです。
ただ、平均価格が上昇する一方で、一部の郊外の住宅価格は下落が目立ち始めました。コロナ禍があまりに長期化すると需要がストップしてしまう可能性もなきにしもあらず。住宅価格が下落するとせっかく手放す決心が出来ても債務は残ってしまいます。
全国銀行協会らは、返済猶予から一歩踏み込んだ制度の運用を2020年12月に始めました。返済猶予では基本的にローン残高は減りませんが、この制度ではローン自体を減免します。災害被災者の債務整理をコロナ状況下に応用したもので、開始1ヶ月で100検尺の申込みがありました。住宅の売却に迫られる可能性はあれど、信用情報機関に登録されないというメリットがあります。しかしこの精度は未だ認知度が低く、申込みをしているのは困窮者のごく一部とのことです。未だ政府は返済猶予を促すなど、問題の先送りにシフトしています。返済困窮者に対応する減免制度の一段の推進などを講じなければ、日本経済は新たな困難を迎えかねません。
(出典:日本経済新聞)