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【お金】土地を知らぬ間に相続しなければならなくなる?政府の相続登記改正案
こんにちは。住宅比較の森田です。
以前、大阪の密集市街地のお話でも触れましたが、親から相続したけれど自分の持ち家があるから放置しているなど、空地や空家になっている不動産を所有している方が増えています。さらに、そもそも現在の所有者さえもわからない、「所有者不明土地」も深刻な問題になっています。
日経新聞(2021年2月6日)によると、政府は2023年度施行を目指して、所有者不明土地対策の関連法案を3月上旬に国会に提出するようです。
この法案の注目ポイントは大きく3つ。
(1)土地・建物の相続登記を義務化
「登記」とは、土地・建物の所有者情報、その不動産に対して抵当権など権利を持っている人の情報などが登録されている帳簿です。
家の売買上などのトラブル時にも役に立つのですが、今まで権利部の登記は申請主義、つまり、したければしなさい方式でした。
改正案は相続開始から3年以内に登記することを義務づけており、期限内に登記せず督促にも応じない場合10万円以下の支払いを科す内容になっています。
(2)遺産分割会議に期限が設けられる
遺産を相続する人が複数いる場合、だれがどれだけ相続するかを話し合う分割会議。現在法律上は無期限ですが、この会議がまとまらなかったり先延ばしにされたりで不動産の放置につながっています。
改正案は相続開始から10年を過ぎると原則として法定相続割合で分けることとしています。話し合いが面倒だからと先延ばしにしていると、忘れたころに処分に困る不動産を強制的に相続させられてしまう可能性があるということです。
(3)土地所有権の国庫帰属制度の新設
相続したものの処分に困る土地を国が引き取りますという制度です。10年分の管理費を支払って国に託せるのです。ただし引き取りには審査があり、建物が建っている場合自己負担で解体しなければならず、担保付きでないという条件などもあります。そういう土地だからこそ処分に困っているのでは…とも思いますが、この制度が検討されるほど、そもそも更地の空地が増加しているのでしょう。
研究機関によれば、現在の所有者不明の空地・空家は九州の面積より広いそうです。その原因の7割が未登記によるもの。この改正案が盛り込まれるのも頷けます。国や自治体が公共事業や都市開発をしたくても、所有者が不明の土地ではその買収に時間がかかりますし、手入れもされませんから近隣住民に迷惑がかかりかねないのです。
対策としては早めに親子間(相続するもの、されるもの)で話し合いを進めていくことが大切なようです。実家を出て持ち家がある人は親が亡くなったら相続するのか、相続人が複数いて共有名義にする場合はさらにその次の世代にも分割協議が必要ですから今度は自分が相続されるものとして亡くなる前にきちんと協議しておく必要があります。相続人が単独の場合は一人で登記できますが、共同相続の場合全員の合意が必要だからです。
「自分の子や孫に、顔も合わせたことがない親族と、どこにあったのかも知らない土地の相続会議をさせなければならない」
こんなことになる前に、先を見据えた行動が重要となります。
住宅比較では、空地・空家をお持ちの方を探しています。法務局から通知が来て初めて自分が相続登記の候補になっている土地があることを知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。処分に困っている方はぜひご相談ください。
(画像元:https://www.j-cast.com/kaisha/2017/10/27312200.html)